『誕生日を知らない女の子』 黒川祥子

誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち
(2013/11/26)
黒川 祥子

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心の傷と闘う子どもたちの現実と、再生への希望。“お化けの声”が聞こえてくる美由。「カーテンのお部屋」に何時間も引きこもる雅人。家族を知らず、周囲はすべて敵だった拓海。どんなに傷ついても、実母のもとに帰りたいと願う明日香。「子どもを殺してしまうかもしれない」と虐待の連鎖に苦しむ沙織。そして、彼らに寄り添い、再生へと導く医師や里親たち。家族とは何か!?生きるとは何か!?人間の可能性を見つめた感動の記録。2013年第11回開高健ノンフィクション賞受賞作! (「BOOK」データベースより)

今年の初め頃、テレビで放送されていたドラマ 『明日ママがいない』 の原作となった本。
ドラマはちょろっとしか観ていないので、内容はあまり覚えていないんですが、ちょっと違うかな?
この本はドキュメンタリーなので、ドラマのようにハッピーエンドとはいきませんから。

近年、子どもを虐待し死亡させたり重症を負わす親がニュースで取り上げられることが増えた。
なんで、自分が産んだ子どもにそんなことができるのか?
素朴な疑問だった。
未だ彼らの心理は理解できないけれど、被害にあった子どもたちのそれからというものを知らなかった。
楽観的に「保護施設に入ったら大丈夫」と考えてきた自分の浅はかさが恥ずかしかった。

この本の中によく出てくる言葉 “愛着障害”
この「愛着障害」こそ、被虐待児のほとんどが抱える問題といっていい。
「愛着」とは、赤ちゃんと母親など養育者との間に作られる情緒的な関係のことで、心理学的に幼児期までの間に子どもと養育する側との間に作られる情緒的な結びつきを指す。
「愛着の関係」こそが人間としての基盤になるのだと言われている。
だが、虐待を受けて育った子どもたちは往々にして、安心な環境の下でつくられる母親との情緒的な交流が欠落している。「人間の基礎」を作ってもらえなかった場合に形成されるのが「愛着障害」である。(本書より抜粋) 

つまり、「がまんする」「相手のことを考えて行動する」ような当たり前のことがわからないのだ。
出来ないのではなく、わからない。
自分の育った世界が“普通”になってしまっているので、世間一般の安全な日常というものが理解できない。
いつも周りに敏感になり意識が過覚醒状態だから夜も落ち着いて眠れない。
反対に、あらゆる災いに慣れてしまうと意識を飛ばして現実から逃避することも覚える。(解離)

そんな子どもたちが保護され、施設や里親に預けられたりする。
今回初めて知った「ファミリーホーム」というもの。
正式名は「小規模住居型児童養育事業」
つまり、養育者の住居において5人~6人の「要保護児童」を育てていく事業で、里親とは違い養子縁組をしない。
それに養護施設みたいに年齢制限が無い。
現在、大規模な養護施設よりこのような小規模のファミリーホームの拡大に力を入れているそうだ。

本書の中で、4人の要保護児童を預かっているそれぞれのファミリーホームを取材しているが、どちらの方も実子がいるのに、どの子どもに対しても分け隔てなく育てていらっしゃるのに驚いた。
保護された児童はやはり大変なのだが、本当の親のように、いや親以上に一生懸命本人と向き合っていらっしゃる。
並大抵の思いじゃできないのに、当たり前のように淡々と話しをされている。
私は到底できないことだな。

ファミリーホームに来た子どもたちが小学校に転校すると、ほとんどの子どもが「特別支援学級」に編入される。
情緒的に不安定というのもあるのだが、やはり勉強の遅れが著しいそうだ。

最後の章は、著者が大人になった被虐待児に会いということで、自身が虐待を受けて育ち、結婚し今子育ての真っ最中という方。
彼女は生まれてすぐに両親が離婚し祖父母に預けられたがすぐに里子に出された。その先では満足とは言えない生活をし、小学校高学年の頃に実父に引き取られたがそこで実父による性的虐待を受けることになる。
家を出るきっかけ作りのために結婚したが、子どもが生まれても自分の過去とオーバーラップしてしまいついつい子どもに手を上げてしまうようになった。虐待の連鎖だ。
「このままでは子どもを殺してしまう」と自ら児童相談所に駆け込んだ。
医師に診てもらうと「うつ病」診断され、しばらく入院し子どもと距離を置くように言われている。
「虐待やレイプの怖さより、究極の孤独を感じる方が本当の恐怖なのかも…。この感情を感じるくらいなら、生きていないほうがいいという選択もしてしまいそう…」

ファミリーホームで育った被虐待児たちは、そこの両親にあたたかく見守られ少しずつ人間らしく(?)成長していく。
普通の家庭生活を体験してみて、初めて人間関係を築いていける。
同じ痛みを知っているからこそ、思いやりや分かち合いという共感ができるようになる。
希望へと向かう「分かれ道」はどこにあるのか。
この里親の女性は明快に答えた。
「根っこが張れる場所が、あるかどうか。根っこを張るとね、障害も軽くなるの。どんな子でも変わるのよ」


この本を読み終わって、
こんなことが現実に起こっているんだということが信じられなかった。
親が悪いと言えばそれまでだが、本当にすべてが親の責任なのか?
その親ももしかしたらそのように育てられてきたのかもしれない。
社会が悪い?それもないとは言えない。
ただ、ファミリーホームのような受け入れ場所が増えることによって、明日が見えなくなっていた子どもたちに希望の光が見えてきたかもしれない。

私たちにできることは、事実を知ることと、それに向き合うことじゃないかなと思ってしまった。


                               by 蜩

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映画 『ルパン三世』

待ちに待った映画が封切られました。

ルパン三世
『ルパン三世』 

実写映画化の話しを聞いてから、ホントに大丈夫なのかな?と不安ばかりが募っていましたが、予告編を見てからは早く本編を観たい欲求にかられてしまいました。

とにかくキャストが豪華。
主役のルパンには小栗旬くん。
ヒロイン峰不二子役に黒木メイサちゃん、次元大介に玉山鉄二くん、石川五エ門に綾野剛くん、銭形刑事に浅野忠信さん。
もー大好きな俳優さんばっかり!

アニメものの実写化が多くなって、これは無理だろうと思うものさえ撮影技術の向上により現実となってきている。
でも、限界ってものはあるだろう。
私も正直なところ、ルパン三世の実写化には多少無理はあるだろうと思っていた。
実際に観てみると、思ったよりはよかったし違和感はなかった。
とにかく、小栗旬くんのルパンは素晴らしかった!
ちょっとしたしぐさやしゃべり方までルパンそのもの。
役の為に8kg減量した身体も、アニメのルパンのひょろっとした感じがよく出ていた。

キャスト発表の時に一番不安だったメイサちゃんの不二子も、なかなかどうしてカッコ良かったしセクシーだった。
全編通して、とにかくアクションが凄まじかった。
どこまでがスタントでどこまでが本人かわからないくらい。もしかしたらほとんど本人だったのかも?
ほとんどが海外ロケだったこともあって、前記の5人以外はほとんどが外人の俳優さん。
日本語吹き替えになっていたけれど、言葉はたぶん英語だったみたい。

個人的に、綾野くんの五エ門がかわいかった。
ひとり違う空気を漂わせているのも大変だろうなと思いながら、早くあのセリフ言わないかなぁ~とワクワクしながら待っていました。

賛否両論はあると思いますが、邦画には珍しいエンターテイメント性の高いアクション映画だったような気がします。
パンフレットを見ていると、どうも続編やりたいなぁ~って雰囲気がありました。
ぜひぜひ、次はヨーロッパあたりで活躍してほしいなぁ

ただね、始まる前にある予告編の数々。
なんであんなに似たような映画ばかり撮るんだろうね、日本は!
少女マンガ原作のが3編もあり、どれもアイドルが主役。
あと、気持ち悪いのん。

久しぶりに観た後スカーっとした映画でした。


                                 by 蜩
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