『しょうがの味は熱い』 綿矢りさ

綿矢りささんの最新作。
今回のテーマは、“ひりひり笑える同棲小説”

しょうがの味は熱いしょうがの味は熱い
(2012/12/12)
綿矢 りさ

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ねぇ、結婚しようよーーーーっ!て言いたい。
愛し合って一緒に住んでいるのに、婚姻届を見ただけで顔がひきつるってどういうこと!?
好きなのにどうしてもすれ違う二人の胸の内を、いやんなるほどリアルに描く連作2篇。(本誌帯より)


『しょうがの味は熱い』
絃(ゆずる)と同棲して半年の心境を語る、奈世。
彼のいない時間、特に夕暮れ時は、どうしても不安な気持ちになってしまう。
夜、一緒のベッドに横たわっていても、ふたりの距離はどんどん広がっていくようだ。
彼の些細な表情が気になって、つい理由を聞いてしまう。
すぐ隣にいる同士なのに、どうしたの、どうしたのと聞き合っている私たちは、本当は何が知りたいんだろう。

相手の事が知りたいっていうのは、自分がどう思われてるかを知りたいだけじゃないのか。
特に女性は彼氏のことが気になってしかたがないんだろうな。
でも、男はあんまり「どうして」って聞かれるとうんざりするんだろう。
そのふたりの間のズレが、半年くらい経つとザラザラとした感情になっていく。

『自然に、とてもスムーズに』
同棲生活から3年後のふたり。
もう、同棲なのか結婚生活なのかさえあやふやな状態にいる奈世。
気持ちも中途半端なままな彼女が起こした行動は、突拍子もないこと。
それは、婚姻届を彼に書いてもらうこと。
つまりは奈世からのプロポーズなのだ。
しかし、それを見た絃は一瞬蒼白になる。

「3年も同棲すれば結婚するもの」だと思っていた奈世は、絃の態度が許せなかった。
いくら話し合いをしても平行線。
毎日毎日同じことの繰り返しで、最後は奈世が泣いて終わるのがその日は絃の方が泣いてしまった。
渋る男を押し切って結婚、なんていうのも、どうもひりひりします。
「泣かないで。どうしたの」
「もういやだ。寝たい!とにかく寝たいんだ」


そして奈世は実家に戻ることになる。
両親は3年ぶりに帰ってきた我が子の心配をする反面、とても嬉しそうだ。
しばらくはのんびり実家での生活を謳歌しようと、怠惰な毎日を送る奈世。
3ヶ月が経ったある日、絃から電話が入る。

最後の結末は読んでいただくとして、なんだか私はこのふたりに振り回された感じだった。

20代半ばの中途半端な年頃の女性にありそうな、自分勝手な結婚神話。
少なくても奈世は、結婚が人生をレベルUPさせるものだと信じていた。
それに反して、結婚に慎重な絃は、父親からの教えにがんじがらめになっている。
そんなふたりの気持ちがすれ違うのは仕方がないとしても、結婚って「自然にスムーズに」する方が長続きするっていうのは本当だろうか?

綿矢りささんにしては珍しく、男女どちらの側からの話しになっている。
そのあまりに違う感覚に笑ってしまうほどだ。
でも、実際はそんなもんなんだろうな。

こんな、どこか“イタイ”女性が綿矢りささんの小説にはよくでてくる。
危なっかしいのに目が離せない彼女たちについ引き込まれてしまってる。


                     by 蜩
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コメント

No title

現実はこの小説のラストのようにはならないケースが多いのではないかと思います。
男女の違いに終始せず、恋愛について書けるのがさすがだな、と思いました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。

2014/03/11 (Tue) 14:41 | 藍色 #- | URL | 編集
【藍色様へ】

コメントありがとうございますv-291
お返事が遅くなってすみません。m(__)m

> 男女の違いに終始せず、恋愛について書けるのがさすがだな、と思いました。
そうですね。
どちらからも書けるってスゴイなと思いました。
その食い違いがまたおもしろい。

2014/03/16 (Sun) 18:10 | #- | URL | 編集

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